400
Post/Edit Page
私は、グールドの演奏を聴くまで、テンペストの第三楽章や熱情の第一楽章にそれほど興味があったわけではない。ブレンデルの演奏では、言わば耳を「素通り」していて、良いとも悪いとも感じていなかった。だから、グールドを聴いていると、同じ曲でもこんなに違うものかと思わされる。▼ところが、それならグールドのハンマークラヴィーアなどさぞかし感動するだろうと思いきや、これには初見で「あれ?」という印象を受けた。何度か聴いて比べてみても、どうしてもブレンデルの方が好みに合う。これは凄い演奏なのではないか――図らずも、彼の正統・堅実な魅力を再発見したのである。▼比較してはじめて比較先の良きがわかり、比較元の魅力がわかるということもある。新人の皆、いまは近くの先輩にばかり世話になっても、慣れてきたら臆さずに、億劫がらずに、ぜひたくさんの先輩方と話をしてみて、真似すべき長所を見つけて欲しい。今日は、そんな話をした。
pass:
Draft