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二十数年、ジャーナリスト育成学校で文章指導につとめてきた文の達人が、こんな話をした。「あるとき、就職で作文があるから見て欲しい、と生徒が言うんですね。それで、片端から行間に赤を入れていくんです。何をするかというと、漢字を開く。所、等、程、何もかも漢字で書いてある、こういうのはやめなさいと。そうして添削したものを返すと、こう口を尖らせるんです。『これじゃ、私が馬鹿みたいじゃないですか。』」▼「あなたね、馬鹿が書いた文章なら、馬鹿みたいで当たり前でしょう。だからって、馬鹿を隠そうとするんじゃない。馬鹿なりに、わかりやすく書けばいいんです。漢字は馬鹿をカモフラージュする道具ですよ。」▼難しい漢字を使うと、文章がかっこよく見える、頭がよさそうに見える、そういう誤解は「誤解」としての認識もそれなり強い。しかし、音楽の方はどうだろうか。難しい和音、複雑な展開。意味もなくひらかれていない音はじつに多い。
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