400
Post/Edit Page
R・ドーキンスの本でこんな実験が紹介されている。「ひとつの大きな檻に、強いブタと弱いブタを一頭ずつ入れる。檻の右端には餌の出てくる穴がある。左端にはブタが鼻で押せるようなボタンがついている。このボタンを押すと、右端の口から餌が出てくる。」さて、どうなるか。▼「強いブタが弱いブタにボタンを押させて、餌を独り占めする」と予想されるが、そうはならない。餌場の強ブタを排除できない弱ブタは餌にありつけないのだから、苦労してボタンを押す意味がないのだ。そのうち弱ブタは働かなくなる。強ブタは餌のため、自分でボタンを押しに行く。▼こうして弱ブタは、強ブタがボタンを押しに行く間、餌にありつくことができる。強ブタは帰還すれば弱ブタを押しのけるだろう。しかし、お互い餌にありつきながら、実際に働いているのは強ブタなのだ。「進化的に安定な状態」――強弱の意味は環境で変わる。どこか身近で見ているような光景ではないか。
pass:
Draft