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最近、同じ本を何度も読んでいる。たとえば「咲」を二十回、「HERO」を十回、「孫子」を三回。回数は大体だ。なぜそんなことになるかというと、至極明瞭な話、これらの本がもう長らく、カバー付きのまま机に置いてあるのである。いちども棚へしまわれていない。棚がいっぱいなのもあるし、カバーを外さなければ棚へは置かないが、外すのが面倒なので仕舞われないのである。正体不明の書籍群。▼カバーがしてあるから、これはどれかなという小さな興味で手に取る。そうして読み始める。「孫子」はサイズが小さいからわかるけれど、手元にあれば拾い上げて頁をなぞりたくなるのが指癖というもの。あとは気づけば栞が先へ。二週目、三週目になる。昔から、同じ本は繰り返し読まない性格の私が、カバー付きのまま置いてあるというだけで、こんなにも再読している。それというのも食指を誘う準備があればこそ。人がどれほど環境に動かされるかの良い見本である。
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