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自分の声が、どこまで届くか。創作をしていると、そんなふうに思うときがある。こうしてみよう、ああしてみようという工夫の目的が、いつのまにか「飛距離」になっている。パワースイングにあこがれる時期。▼ゴルファーがドラコンへ出場するように、野球選手が長打ばかり練習するように、いつかはそうしたわかりやすい「力」を目指してみるのもいい。けれども、全力を込めて球を打てば、当然、ていねいさは失われる。ていねいに伝えることを忘れた大声は、はじめこそ驚いてもらえても、次第にうるさがられて、ついに耳を塞がれる。▼熱量は人を惹きつける。が、惹きつけた人を遠ざけもする。熱がなければ人は来ないが、ただ燃えていればいいわけではない。長く親しみ、愛着をもってもらうには、ときどき涼しい風が吹くような、そんな気づかいもいるだろう。飛距離とコントロールのバランス。このあたりの呼吸には、どうもスポーツと芸術に共通するものがある。
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