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あるシンポジウムでタイムキーパーをしていたときのこと。一人10分の持ち時間を守らせるべく、大きなパネルに「あと2分」「あと1分」「時間です」「1分経過」「2分経過(赤太字)」と小刻みな警告を用意し、ストップウォッチを見ながら最前列で提示していた。▼それでもみんな守らない。3分あまって間の持たない人も居れば、2分経過を揺らしてみても早口で続けようとする人もいる。たいていは足りない方なので、スケジュールはどんどん後ろに押していく……そんな中、ひとり、私に強烈な印象を残した人物がいた。鈴木特許庁長官である。▼タイムキーパーとしては唖然であった。講演中、私の方をいちども見ないのだ。時計も見ないで淡々と、スライドの内容を説明していく。オーソドックスな講演。そうして「ご清聴、ありがとうございました。」と言い切ったところが10分00秒。感服した。あのときもっとも真摯な拍手を送っていたのは、私に違いない。
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