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ダンカン・ワッツ『偶然の科学』を読む。なぜあるものは流行り、あるものは流行らないのか。書名からも想像できるように、ワッツの答えは「たまたま」である。私たちはある重大な出来事の原因を考えるとき、それが重大であるという理由だけで「偶然」という原因をあまりに軽視しすぎているのだ。▼主張そのものに社会学として目新しいものはあまりないが、豊富な具体例が読み物として面白いのでオススメする。ウェブコンテンツをめぐる最新の動向にもアプローチしているので、ウェブを舞台に創作活動をしている人間にはとくに役立つ知見も多いだろう。皆に賞賛される「最高の音楽」がどのように生まれるかを観察する<ミュージックラボの実験>など、私にはじつに興味深かった。▼ただしワッツは、成功など偶然の産物に過ぎず、すべての計画や努力は徒労だ――とは結論していない。計画や努力に対して、成功を期待しすぎることへの警鐘を鳴らしているのである。
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