400
Post/Edit Page
授人以魚不如授人以漁――人に魚を与えても一日で食べてしまうが、釣りを教えれば一生食べていける、という訳で親しまれる、老子の格言である。近ごろ熱い社会保障と職業訓練の文脈で引かれることは多いが、本来はより広く教育の重要性を唱えたものだ。知識を与えるのではなく、知識の得方を与えよ。▼けれども、このあたりの「本質」が生徒と先生のあいだで共有されていないと、教室は悲惨な発言で溢れかえることになる。こんなイソメやゴカイなんて、腹の足しにもならないものはいりません。それより美味しい魚をください。「三角関数なんて、社会で何の役に立つんですか。」▼勉強を楽しくするというとき、楽しげな遊びに勉強を織り交ぜて、糖衣に包んでも仕方がない。魚が旨くて、よく釣れれば、これはもう釣り自体が楽しいはずなのだ。ときどきは魚を与えて旨味を思い出させつつ、釣り自体の技術と楽しみを教えていく。このバランス感覚に教育の肝がある。
pass:
Draft