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羊の肉を食べる。十年ぶりだ。高校生のとき、修学旅行の北海道で食べたジンギスカンはあまり旨くなかった。あれ以来、羊は不味い肉だ、少なくとも私には合わない肉だと思い遠ざけてきた。臭みがあるとか、癖があるとか、人を選ぶとか、そんなふうに囁かれるほど、食べてもないのにますます苦手になった。▼当然、旨い肉は旨い。そんなことは羊に限らず牛肉でも豚肉でも、当たり前のことなのだ。今日の羊は当たりだった。食べ放題という看板の醸す、いやな予感を吹き飛ばすほど良質な味がした。明日からは、誰かがジンギスカンでも食べようと言い出ても、嫌な顔をせずついていけそうだ。根拠のない苦手意識が裏返る。▼いい反転だ。しかし、いつもそうなるとは限らない。たまたま旨い羊にありつけたから良いものの、またしても外れならどうだったろう。運もある。本当なら苦手意識の克服には、あたって砕けろの博打より、成功する確率の高そうな初手を選びたい。
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