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駅でガムを踏んだ。まだ吐き捨てられたばかりの白いやつだ。電車に乗り込む一歩前、左足が地面から離れなかった。迂闊だった。▼公共の空間にガムをお見舞いする感性は到底理解できないが、もうどこかへ逃げおおせてしまった彼を非難しても仕方がない。問題なのは、ガムの粘度が異常に高く、こすりつけて取ろうとしても無駄に伸びるばかりで離れないことだ。そのうちガムの面積が広がって、えらいことになってしまった。ティッシュで拭き取るしかない。▼さて、電車に揺られて考えていたのは、日本人のモラル低下でもなく、理不尽な後始末をさせられた憤りでもなく、ガムの粘度についてであった。恐るべき粘りを味わった。とにかく千切れない。正しく引き伸ばしたら、誇張なしに数十メートルには達しただろう。噛んだガムを飲み込んでも、大人の人体であれば害になることはないらしいが、そうだとしても、あんなものを胃や腸に入れたくはないとつくづく思った。
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