400
Post/Edit Page
小学校二年生のとき、学校の紙飛行機大会で優勝したことがある。▼当日まで、どんな素材で、どんな形に折れば、ふわふわと長く飛んでいくのか、体育館で何度も追求した。けれども不器用な私の飛行機は、数mも飛ばないうちに風の抵抗を受けて、ひらりと身を反転して落ちてしまう。風に乗ることが出来ない。抵抗が飛行機を落としているんだ――そう見えた。▼私は、与えられた折り紙の中で最も重く、滑らかな素材の一枚を選んで、それを細く、細く、限界まで細く折った。空気抵抗はほとんどなかった。当日、逸品を全力で投げると、投げた力の分だけしゅーんと飛んだ。そうして、体育館の反対側の壁に突き刺さったとき、それが最高記録だった。▼いちばん飛距離の長い作品が勝ち。そんな単純すぎるルールのもとでは、紙飛行機とは呼べないような、おかしなものが「優勝」してしまうこともある。全力で挑んだ「変なもの」がたまたま勝ち取った不名誉な勝利である。
pass:
Draft