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平均という神話はいつも幻のように私たちを惑わす。平均的な顧客、平均的な友人、平均的な考え方、あるいは平均的な人生……。そんなものは存在しないが、あたかも存在するかのように見えるので、難しいことを考えるとき、つい無意識に「平均的な」代名詞に頼ろうとする。たとえば自分の作品を見知らぬ他人が評価すると想像するとき、どんな人物を想像するだろうか。こういうジャンルが「好きな人たち」……何らかの意味で平均的でないマスなど、そうはたやすく想像できない。▼顔の見えないお客さんを平均化する誘惑に負けそうなとき、私は数人の<ペルソナ>を作ることにしている。二十五歳、文学部に通う大学生で、火曜日は一限と五限しか授業がない。空いた時間は学生会館でタブレットを開き、とくべつな目的もなく動画サイトをサーフィンしている――その彼が、さて私の作品を見てどう思うだろうか。こう考え始めることは、神話を相手にするより数段いい。
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