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リンダ・グラットン『ワーク・シフト』に登場するエピソードの中で、ひときわ考えさせられるものがあった。欧州企業幹部を対象にした私生活調査で、子どものいる幹部は男性がほぼ100%に対し、女性は60%ほどしかいなかった。二人以上の子どもとなると30%まで落ちる。そうして、そういう人生を意識的に選択した人はごく少数に過ぎなかったという。▼「自分が子どもをもたずに生きることになるとは思わなかった」と語る女性幹部たちは、その生き方を選んだ時点では、自分がどういう選択をしたのか、その選択により何を得て、代わりに何を諦めることになるのか、明確にはわからないまま決断を下したのだ。働き方のように生き方を大きく左右する選択の結果は、予期しないものであることが多いし、現実となるまでにはしばしば取り返しがつかないほどの時間がかかる。だからこそ、何を得て、何を失うのか――選択の報酬と代償を、深く考えなければならない。
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