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上にボーカルを乗せること前提でつくる曲、いわゆる「歌モノ」のオーディションで、審査員はしばしば、あるタイプの候補に悩まされるという。それはけっして初心者の作品ではない。出来のいいメロディ。素晴らしいグルーヴ。完璧なミキシング。破綻なく稼がれた音圧――。そう、もはやそこに「歌」の入る隙がないのである。▼初心者の作品ではないと書いたが、その道のプロからすれば、こうしたひとりよがりな自己主張をするようなクリエイターは、どんなに音楽的な知識と経験を持ち合わせた人物であれ、初心者と呼ばれるべきなのだろう。完全に、目的を見失っている。▼作者が一人でも複数人でも、頭の中に完成形のイメージがないとき、こうしたことが起こりやすい。完成形が見えていないから、ひとまず手元のサウンドを完璧と思えるものに近づけることがクオリティアップだと考えるようになる。埋めるべきでないところまで、粗を探しては埋めていくのである。
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