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深夜一時過ぎ。毎日、同じ時間にセブンイレブンへ入り、梅おにぎりをひとつ買う。ときどき温かい十六茶も添えて、220円。銀色二枚、銅色二枚、いつもより小さく見える硬貨を置いて、ビニール袋を指にひっかける。自動ドアが開いたらもう寒い。おにぎりの封を解いて外のゴミ箱に捨てる。裸の海苔を掴んで、ひとくち。暗く、長い坂を登りはじめる。あんまり暗いので、誰も見えないし、誰からも見えやしない。遠慮無く食事も出来るというものだ。▼この奇妙な「梅おにぎり」が始まると、いよいよ年末だなと思う。そういうことでしか年の瀬を感じられない自分を悲しくも思いつつ、考える力も少ないのでオリオン座を見ながら梅を味わう。梅。子供の頃、梅おにぎりが大嫌いだった。そもそも私は梅があまり好きではない。それでも梅おにぎりを食べるのは、そうすることで明日も元気に働ける気がするからである。だから<奇妙な>おにぎりなのだ。まだまだ先は長い。
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