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音楽には変化が必須であるとよく言われる。単調になることは音楽の死だ。そう考えるから、皆、強弱を変えてみたり、音の厚みを変えてみたり、音色を変えてみたりする。ひとくちに言えば、やはり<変化をつける>のだ。しかし、ここでひとつ、例外的に変化させてはならぬものがある。情報量――豊かさである。▼やたら詳しい頁とたいした内容のない頁が混在している、そんな書籍が読みにくいように、情報量の変化する音楽は聴きにくい。音の数が減ったとき、それまで感じられていた豊かさまで減るようでは困る。内容は失われてはならない。音が少なくなればなるほど、技巧と表現による「一音色あたりの情報量」は増えるべきなのだ。▼情報量保存則。エネルギー保存則のように、曲全体に成り立つ原則として意識していれば、それだけでどこか物足りない、肩透かしのような楽節は少なくなるだろう。無音が担うべき情報の多寡を考えれば、濫用できない理由もわかる。
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