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職業柄、さらに趣味柄、面白いとは何かということを昼夜考えている。面白いとは――しかし、ここで述語に哲学的な言葉を並べ立てても無駄だろう。宇宙を意志と呼ぼうが神と呼ぼうが宇宙のことがひとつもわからないのと同じように、測定できない概念を言い換えてみたところで得られるものは何もない。「面白いとは、面白いことである。」右辺を翻訳しつくせば、どのみちここにたどりつく。▼面白さの正体に近づくためには、概念自体をこねくりまわすのではなく、手もとの作品という具体物がより面白くなる方法を考えるしかない。案外、人はその思考実験のためだけに物をつくるのかもしれぬ。あと一人、多くの人を喜ばせるにはどうすればいいか。あと一息、その人の笑い声を大きくするために何が出来るか。作品は、こうした「現実的な手立て」を考えるための材料になる。いわば面白さという得体の知れない概念に至る中間式として、形を与えられた外部記憶なのだ。
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