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人混みの横浜を歩きながら、ふとこんなことを考えた。ゲームグラフィックスの進化は本物に近づくための擬似手法開発の歴史である。動的に落ちる影、人の肌や瞳、互いに反射し合う環境光――あるときは数学を引き出して近似し、あるときは心理学を駆使して誤魔化し、有限なメモリと処理速度の中でなんとかリアルを再現しようとしてきた。▼ところがゲームのサウンドは早々に本物であることを捨てている。現実世界は騒音に満ちているが、ゲームでは人混みを歩いても歓声と会話のブレンドが聞こえてくるわけではない。現実より遥かに静かである。▼なぜだろうか。いろいろ考えられる。たとえば画面と違い音響設備は人によって違いすぎるため、実装側でいくら努力しても割りにあわないこと。あるいは描画物が増えると情報も増える映像と違い、音は発音源が増えるとある点から急激に情報量がロストすること――こういうところで耳と眼の違いを考えてみるのも面白い。
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