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方程式が直線や曲線を表すという数学の科目を習うとき、こんなことになんの意味があるのかと思ったり、口に出して訊いたりする生徒は多い。たしかに、方程式は数学の基礎である。方程式がわからなければ後の高等数学は扱えない。しかしこと方程式と曲線そのものについて――つまり「y=3x^2」がひとつの下に凸な放物線に対応しているということについて、その重要な意義を説明できるだろうか。「これはすごいことなんだよ、なぜならね……」▼答えはいくつもあるだろう。とりわけ私の挙げたい大きな意義のひとつは「情報の圧縮」である。下に凸な放物線という無数の点情報が、3と2と二次方程式の僅か3つの情報からいつでも復元できるという事実。これこそ方程式の恐るべき性質だ。この解釈の下では、数式は言わば情報の多すぎる現実をあいまいに理解するためのデコーダーとして働く。式を自在に繰れば繰るほど、世界はより小さな情報へと整理されるのである。
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