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明日のパンのためだけに名曲を生み出す人もいれば、芸術の真髄を究めたい一心で名画を描く画家もいる。実際、偉人と呼ばれる歴史上の人々にはどちらも等しくいるように思われる。月と六ペンス。だが、対極にあるように見える彼らのあいだにも共通点がある。どちらも余念がないということだ。▼手許の作業に注ぎ込んだ集中力の多寡が、そっくり名作の礎となる。目的の貴賎は関係ない。才能の枯渇よりも、気持ちの多角化が人を堕落させる。金銭を目的とすることが問題なのではなく、金銭にまつわる余計な思考が問題なのだ。信念の分散。イギリスの初期ハウスDJ、デイヴ・ドレルはこう憤る。「みんなより数フィート高いところにいるだけで、雲の上にいる気分になっちゃう奴もいる。いきなりDJは妙な考えを起こす。フェラーリを買わなきゃ、ポルシェに乗らなきゃってね。そしてレコード・ボックスを持って群衆の中を王様みたいにのし歩く……勘弁してくれよ!」
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