400
Post/Edit Page
ここのところ分厚い本ばかり読んでいる。これはぜひ読みたいと思う本が、偶然にも全て厚いのである。昔は、学生の頃は、こんな何百頁もある本は絶対に読めなかった。読みたいと思う気持ちが本の厚みに殺されていた。それが今は読める。単に読み慣れたのか、気持ちが勝つほど強くなったのか、ほんとうのところはわからない。▼成長と考えていいのかと訝ることもある。人は熟練するほど、年を取るほど長さを求めるものだ。読書に限らず表現もそう――薄い本で自分を伝えられなくなる。小さなキャンバスで世界を描ききれなくなる。短い曲でドラマを作れなくなる。それはより大きな構造を求めるようになったと言えば聞こえはいいが、切れ味、集中力、そういうものを失って、鈍く、老獪になっただけとも言える。▼このごろ四百字で何かを伝えきるのが難しいと感じるのも、そういう老いの悪さかもしれない。だらだらするくらいなら、刻んでいこう。短く、短く、短く。
pass:
Draft