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新芸術――アール・ヌーヴォー、ひいてはその先駆たるアーツアンドクラフツ運動は、機械生産による無機質で、工業的で、《想像力の枯渇した》製品の氾濫に対する嫌悪感から生まれた。科学技術と合理主義が驀進する社会の中で、市民はゴシック・リヴァイヴァルの懐古趣味に浸る。カルチャーあるところにカウンター・カルチャーあり、である。▼こうしたメインストリームに対抗するアンダーグラウンドの活動が、デザインの世界ではあまり「地下的」でなく、権力による抑圧とは比較的無縁なのが面白い。大量生産が提供する製品のつまらない見た目にうんざりして身近なインテリアに装飾を施すことは、大衆ラジオが届ける退屈な音楽に飽きてレイヴ・パーティーでトリップすることよりも安全なのだ。グラフィティアートが公共空間の侵害という俎上に乗せられるまで、デザインの問題が市政の頭痛になることは、少なくとも音楽の場合より少なかったのではないかと思う。
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