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反省は進歩の礎。たしかにそうかもしれない。しかしソフトウェア開発の世界では、製品やシステムの出来栄えがもっとも危険に晒されるのは、往々にして二度目のプロジェクトであると言われる。なぜなら彼らは一度目の開発で、先行きの見えない不安から、技術的な限界から、設計の見通しの甘さから、多くの「実装し得た仕様」を泣く泣く切り捨てているのだ。大丈夫。もうわかった。次は絶対に上手くやれる――反省の名のもとに次々と新仕様が盛り込まれていく。▼そうして出来上がったシステムは、機能は豊富だが複雑で扱いにくい、飾りだらけの見掛け倒しであろう。初めての試みで痛い目を見たばかりの技術者が集う大規模開発は、ことごとくと言わないまでも、完成品は出来損ないに終わっている事例が多い。三度目の正直という慣用句は、こうした経験に裏打ちされた知恵なのだろう。フレデリック・ブルックスは、これを「セカンドシステム症候群」と呼んでいる。
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