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紙がいつもタブレットPCより使い勝手が良いとは限らないように、長く使われていたという実績だけで、楽譜が音楽表現の最も完成された形式であるとは私は思わない。ここ最近の新しい表現形式であるキーエディタにも、楽譜――スコアエディタにはない独自の強みがある。▼キーエディタ最大の長所は、音のラインが広範囲にわたり正確に鳥瞰できることだ。楽譜は段が変わると視覚的に線が断絶されるし、音部記号の存在により同じ段でも音の連続がわかりにくい。正確な音価もしばしば演奏者の感覚に委ねられてしまう。曲の「形状把握」という点では、拡大・縮小・スクロールなど各種の機能を備えているキーエディタに分がある。▼一方、楽譜の長所は音や旋律の「意図」が表現できることだ。たとえば、キーエディタではCisとDesの区別はつけられない。また、演奏上の詳細が記号や標語の解釈に隠蔽されているので、音楽の全体像を概観しやすい点も挙げられるだろう。
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