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うどんすきを食べる。読んで字の如くすき焼き風のうどんで、創業以来200年を誇る老舗「美々卯」の登録商標らしい。いかにも和風な店内のつくりにテーブル中央の巨大なIHがやや不釣り合いだが、温度の匙加減が楽で理には適っている。巨大な鍋になみなみと注いだ鰹節の出汁が葉物によく滲みて美味かった。▼ところで、200年前を「江戸時代からつづく」と言われても「古いんだなあ」という月並みな感想しか浮かばないが、世界の歴史からすると、じつにナポレオンがフランス皇帝に即位したあたりである。ナポレオン1世の誕生パーティーが豪勢に開かれていたとき、この店はもう客にうどんのすき焼きを出していたわけだ。そう考えると歴史の重みが急に増してくるのは、私が日本史よりも世界史に明るいせいだろうか。▼200年の出来事を詰め込んだような満載の鍋を箸でつつく。うどんより何より、いちばん旨いと思ったのは、普段あまり好まない湯葉だった。
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