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「夜熱依然午熱同、開門小立月明中。竹深樹密蟲鳴處、時有微涼不是風。」▼じつは一昨年も引いた句である。中国の、まして森林部の夏の暑さは日本の平野より遥かにひどいと思われるが、夏が暑いことを呪う漢詩は意外にも少ない。あまりに過酷な現実だから、想像の世界、うたの中ではせめて涼しくあろうという心なのか。ありふれた生活人の恨み事では名句にならないので、後世に伝わらないだけなのか。寂寥感から思い出を誘う冬の寒さに比べて、暑さは思考を鈍らせるので、暑いという感覚以上に詩想の拡がりが持てないのか。▼最後の説を擁護する、こんな話を思い出した。あるひまな研究者が、遊びがてらにWikipedia(Japan)の編集者数を大学別にランキングしてみたという。そうして、少なくともその集計時期では、断トツで北海道大学が多かったそうだ。寒くて家に閉じ籠るしかない日々が、彼らに記事を書かせるのだろうと研究者は言う。詩も同じかもしれない。
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