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二年くらい前の話。今はもう独立して会社にいない同僚と、残業前の日課に定食屋へ行ったときのこと。思い返せばそのころから脱サラのことを考えていたのだろう、ふだんは陽気な冗談ばかり得意な関西人が、我が社の行く末とか、将来のこととか、まだ見ぬビジネスチャンスのこととか、未来のことを、茶化しつつも真剣に話しはじめた。そのとき「自分はなに目指してるん」と訊かれて、ううんと小沈黙の後、私が答えたのは「最強」という一言だった。▼「いや、めちゃくちゃ『らしい』わ」と彼は言った。私も、冗談で答えたわけではなく、ワンピースのゾロの真似をしたわけでもなく、かなり真剣に、心中まさにここという一言をシンプルに答えたつもりだったので、そうでしょうと真面目な相槌を打った。最強って何。定義は。手段は。現実味は。そんな無粋な質問を繋いでこない彼の感覚的な受け取り方が気に入った。迷ったとき、あのやりとりをいつも思い出す。最強。
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