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晴天。深夜の藍色。終電の二十分前に判明した新仕様をリポジトリに叩き込んで、疲労困憊ながらも清々しく会社を抜け出した私の頭上には、湿り気の強い夏の星空が広がっていた。今日は帰宅後にやることがある。朝まで眠れないかもしれない。とにかく急ごう。終電に飛び乗る。酔っぱらいの集団と同じ車両だ。▼二つ目の中継駅を降りたとき、異変に気がついた。明らかに駅のものとは思われない轟音。読書と仮眠の中間を漂う頭で解釈すると、どうやら豪雨であった。誰かの悲鳴が聞こえる。特大の雨粒が地面を白く塗り潰している。▼タクシーを待ってもよかった。コンビニで傘を買ってもよかった。けれどもどうしてか今日、私は、たまには濡れてもいいかと思った。タオルを頸へ。これだけは濡れてほしくない大切なオライリーの新刊を守るため、古雑誌でトートバックの入り口に屋根をつくる。雨の中へ。濡れ鼠になりながら、道中、靴も脱いでくればよかったと思った。
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