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日本酒ならとにかく「獺祭」が旨いよという日本酒通がいて、私に奨めかつ自分も注文したが、ちょうどその日は大人気のため在庫が切れていた。かくして獺祭は私の中でささやかながら幻の日本酒となり、もし日本酒を好きになるとしたらぜひとも「獺祭」を飲んでみるべきなんだろうと思っていた。そうして数カ月後、私はその幻の酒と奇跡的な再会を果たす。ふつうにそこらの居酒屋で注文できたのだ。▼値段から想像はついていた如くなんのことはない庶民的な日本酒ではあったが、通が旨いと言い切ったその太鼓判と、しばらく出会うことのなかった醸成期間で数割増には良く感じられたと思う。もとより私に日本酒の良し悪しなどわかるわけもないのだが、たしかに獺祭なら飲めるね、これは旨いよなどと人にも言い出す始末で、人間、ことの好き嫌いも多分に他人の言葉と事の成り行きに左右されるものだなと思うのである。今日は鳥屋で徳利を一本だけ、いただいてきた。
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