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玄関の前にそれはそれは大きな蜘蛛の巣が出来た。角に張るタイプのつつましい網ではなく、ドア上部の何もない平面から反対側の垣根へ伸び、まるごと通路を横断する複雑な形状の大作だ。昔、遊歩道の左右にある標識と電灯を跨いでかけた超大作に次いで、これはでかいと感嘆する大きさである。▼ところが大きすぎたのが仇で、これが私の頭にぎりぎりひっかかってしまった。ある日あるとき、外で出かけようとすると文字通り後ろ髪を引かれるような感触がして気がついたのである。腰を低くしてかがんで出た。帰りも同じようにした。しかしどう始末したものか、ちょっと頭を悩ませている。▼変な話、私は昔から蜘蛛を邪険に扱うのが苦手だ。箒で払えば良いだけのことだが、せっかく頑張って張り上げたものを崩してしまうのもな、ともったいない気持ちにもなる。残念ながら君は張る場所を間違えた――そっくりそのままどこかの自然へもどしてあげられたらよいのだが。
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