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スランプと言うほと手を動かしていないが、心持ちスランプである。目指すものがぼんやりしていて――などとサボリビトの常套句のようなことを言うつもりはないが、曖昧でない代わりにどれを選択すべきか、三叉路の交点で立ち竦んでいる状態だ。どれにしようかな……と首を傾げるビュリダンのロバ。▼私が定期的に昔の自分の作品を見たり聴いたりするのは、過去の自分に学ぼうというよりも、それらを見て何に不満を覚えるか、自分自身がすでに飽きている要素がそこにないか、つまり、粗を探しに行く意味合いが強い。私もオーディエンスとまったく同じように、避けようなくぴったりと時代に寄り添って生きてきたのだから、私が今、過去の自分に「ありきたりだなあ」「もう飽きたなあ」という感触を持つ要素は、即ち世界が飽きはじめた要素にどこかで通じているはずだ、と、そんなふうに思うのである。無数の人間が織り成す巨大な世界は、欲望の驀進力に過ぎない。
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