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40年代以前のスウィング・ジャズから50年代のモダン・ジャズを経て、フリージャズへと至る歴史の流れと実地の曲を追いながら、徐々にジャズへの謂れ無き誤解を解きつつ興味を持ちはじめてきた。▼と同時に、今日の昼食屋でかかっていたジャズを、これはコルトレーンに似ているな、いやもっとモーダル寄りだろうかなどと全く詮ない素人考えを巡らせながら聴いていたとき、ふいに気づいたのは、私は今までに聴いたジャズの曲、傑作と言われるものもそうでないものも含めて、何回も繰り返し耳にした曲でさえ、ほとんど覚えていないということだった。そのとき注意を寄せていた昼の曲のフレーズひとつさえ、今はもう思い出すことができない。楽器はなんだっただろう。▼これはジャズの性質に拠るのだろうか、それとも私の性質に拠るのだろうか。即興性とは記憶も印象も即興のうちに消えていくものなのだろうか。――私はまだ、ジャズの音色が好きにはなれない。
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