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リディアン・クロマティック・コンセプトや下方倍音列によるラングメソッドのことを入り口ばかり調べてまわって、非常に興味深くスパイシーな香りにときめくと同時に、なるほどこのあたりが<理論の泥沼>だなという、啓蒙書から宗教書へのグラデーションの途上に立ったような、自分の実人生に対して危害を加えうる領域への本能的な萎縮を感じたのである。いかに面白くて役に立つとしても、深入りしないほうがよいことも世の中には多々あるものだ。▼「鈴を使い始めたら危ないですね」とは晩年のコルトレーンを評した菊地成孔氏の言葉だが、部屋で、ストリートで、パーティーで、居酒屋で楽しく音楽を弾いていた人が、真実を追い求めて、研鑽を渇望して、やがて独自の理論を創りあげ、世界とか宇宙とかコンセプチュアルなワードに囚われて行く。素晴らしい生涯だと素直に感心しつつ、憧れ得ない学究の姿だとも思う。私は、平穏無事に楽しく生きたい俗物である。
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