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ルートはどこでもいいので、ひとつ音を叩く。叩いた音の上で、三度上の音と六度上の音をそれぞれ全音トリルする。この3旋律の関係を保ちながらルートの音を上下に動かしていくと、豊かできれいな響きが聞こえる。豊かでありながら安心できない、どこかミステリアスで落ち着かない美しさでもある。▼トリルしている2音の関係は4度なので、神秘性はこの4度関係から生じているのかもしれない。加えて、トリルが高速になると次第に1・3・7の響きが聞こえてくる。五抜きのセブンス・コード。これがいかに豊かさと寂しさの同居した不思議なサウンドであるかについては別の場所で詳述した。7がさらに上の3に飛びたがる心理もアタリがつく。ここには2と5がいない。▼誰かのいない昼食がその人物のうわさ話やら欠席裁判やらで盛り上がるように、キャラクターはしばしば不在になることでクローズアップされる。徹底して誰かのいない世界を演出するのも面白い。
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