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マイクル・コーニィ『ハローサマー、グッドバイ』読了。心ひそかに的中させた人は、ぜひ喜んでください。▼SF好きに薦められるか。それはわからない。しかしファンタジーにほど近く、海をめぐる爽やかな一青春小説としてなら、自信を持って推薦できる。物語としての出来映えは素晴らしいというよりない。▼実を言うと、全く個人的な好みではあるがヒロインが苦手なタイプだったので、コテコテの”ボーイ・ミーツ・ガール”として楽しむことはできなかった。たぶん作者に罪はない。加えて、下馬評では最後のどんでん返しが醍醐味と聞いていたが、私には意外性よりも「そうきたかあ」というような、静かな納得感の方が強く感じられた。この作品の白眉はそこではなく、盛り上がるのにクライマックスがないという構成の独特さにあると思う。物語は起き、ゆっくりと昇り、そのまま上がり尽くして、尽くして、すっと薄く消え去るのだ。雪の中へ溶けていくみたいに。
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