400
Post/Edit Page
昔、中学生のころ、どちらかと言えば教師に従順でないワルガキどもに連れられて、下校時に制服のままボウリングへ繰り出したことがある。制服のまま遊びに出かけること自体は禁止とはいえ珍しい行為ではなかったが、そのときはひとりでは決して選ばないガラの悪い地区へふらふらと舞い込んだところが少し特別であった。▼そうして、そう遠くない地でありながら、以来訪れることのなかった思い出の中の幻を十数年ぶりにたまたま歩いた。煤けた黄色の看板、ところどころ閉まるシャッター、乱立する小さなパチンコ屋、築数十年の商店街、綺羅びやかを装いつつ埃臭さを隠し切れない雑食な町並み。驚くべきことに、町は記憶の彼方で霞んでいた当時の印象と何ひとつ変わっていなかった。ほんとうに何も変わっていないのだろう。頓挫したとはいえ、未来に向かって開発の進められた海側の変化に比べればゼロに等しい。発展の「済んだ」町の有り様を感じた瞬間であった。
pass:
Draft