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ベストアメリカン短編ミステリ。分厚いので総評を二回に分けよう。「後日の災い」以降で読了したところまで。▼クラーク・ハワード「道は墓場でおしまい」は現在のところベストワン賞。畳み掛けるようなサスペンスと読めない最後、そしてタイトルの魅せ方が秀逸。アンドレ・コーチス「越境」は冬山の脅威を描いて美しい。ただ、同行者たちの名前と性格を一致させるのには少し時間がかかった。ケヴィン・ライヒー「イリノイ州リモーラ」は刑務所建設で復興を果たす街の人と経済を捉える社会派の物語。語り手が「われわれ」と複数形なのは珍しい。ニック・ママタス「シャイニー・カー・イン・ザ・ナイト」は残念ながら私には合わなかった作品。散りばめた言葉のユーモアが邦訳で失われるタイプかもしれない。エミリー・セイント・ジョン・マンデル「漂泊者」は詩的できらきらした文体が魅力のスプリント。この中ではいちばん素直な、そして静かに悲しい話である。
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