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酩酊度八十で書く短編評。▼デニス・マクファデン「ケリーの指輪」はアイルランド観光周遊路の名を持つ魅惑のリングをめぐる物語。正直、後味はあまり良くない。登場人物の人格に少々納得が行かない。マイカ・ネイサン「獲物」は子どもが主役のサスペンス。小さな兄弟が狂気の世界をくぐり抜ける話は、淡々としているほど奥深い。結末はあっさりだが道中の緊張感はある。ジョイス・キャロル・オーツ「いつでもどんな時でもそばにいるよ」はわかっていても背筋の寒くなるストーキング・ホラー。扉の作者コメントで結末をネタバレしているのは頂けないが、付きまとわれる女の子の方の心理がとにかく秀逸なのだ。これは凄い。ナンシー・ピカード「電球」は好みに合わず。どうにもクライマックスが見えない。ビル・プロンジーニ「弾薬通り」は、主役の探偵二人が活躍するであろう他の長編推理小説への誘い。消化不良の最後も、そう考えれば納得できる。広告である。
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