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『砂糖の歴史』をこつこつ読み進める傍ら、中東の歴史全般について詳しい先輩と道中雑談をする。砂糖がヨーロッパで大衆の消費財になったのは十七世紀以降であるという「新しさ」に驚いたという話をしたところ、先輩曰く、アラブ人は昔から砂糖が大好きだったはずなので、十七世紀ということはない、もっと古い歴史があると思うと言う。▼まさしくご名答で、ポリネシアからインドへ、インドから中東へと伝わった砂糖は、蜂蜜が甘味の主流であったヨーロッパより一足先にアラブ世界で開花していた。それを御多分にもれず十字軍が持ち帰ったという流れである。▼大衆の嗜好品となるために足りなかったのは製糖の技術であったようだ。さらに言えば大量生産という概念、あるいは大量生産するために必要な、西インド諸島のような植民地環境――奴隷貿易も含めて――を待たなければならなかった。こうした条件が揃ったとき、砂糖は歴史に猛威を振るい始めたのである。
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