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『砂糖の歴史』読了。紀元前よりニューギニアで栽培され、北上してインドへ。やがてアラブ世界で発展し、十字軍に連れられて欧州世界へ。大航海時代に乗って西インド諸島へ渡り、アンティグア、ハイチ、ドミニカ、キューバとプランテーションの乱反射。そのうち新しい土壌を求めてアメリカ大陸はルイジアナ、フロリダと支配を広げ、ブラジル、クイーンズランド、モーリシャス……。▼気がつけばぐるりと文字通り世界を一周した砂糖の歴史は、砂糖と言いつつ、ほとんど「奴隷制の歴史」である。甘いモノをめぐる欧州と北米の文化史が二割、砂糖業界の利権主義と健康被害、バイオ燃料への展望など現代的な話題が一割、残り七割が奴隷制や年季奉公制度など強制労働にまつわる話だ。まさに血まみれの砂糖である。痛ましい記録の数々ではあるが、情報量は豊富で、長く楽しめる優秀な読み物だった。歴史本は分厚いに限る。小さなことにどっぷり浸かるのが魅力である。
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