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ピエール・ルメートル『その女アレックス』読了。本屋へいくたび、宣伝タグと帯の面積が増えていって、前代未聞、空前絶後、史上初……とたいそうな売り文句が重ねられているものだから、いいかげん気になって読んでしまった。ジャンルとしてはミステリに属する犯罪小説である。▼短評。展開の先を読ませない妙、読めたと思いきや裏切られる舵取り、想定外のラストなど、たしかに新しく面白いが、設定も含めて少々悪趣味なのは否めない。真に迫るリアリティというよりはインパクト重視だし、読後にメインテーマから考えると序盤の牽引力を担当する初期設定が蛇足のようで、いかにも「釣られた」という感じが残ってしまう。そういう意味でも清々しい読後感とは言いにくい。面白くても読後感の良くない品は、なかなか強くは人に薦めにくいものだ。▼などと不満はありつつも、テンポの良い筆致と登場人物の豊かな個性をもって、十分楽しめたので星は四つとしたい。
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