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ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』の上巻を読了。朝日新聞の「ゼロ年代の50冊」で第一位に輝いたことで話題になった本。その後、同著者のシリーズは累計100万部を突破している。▼本書のレビューは賛否両論だが、そうなるのもわかる。「〜と思われる」「〜はずがない」という語尾の多さは流し読みでもわかるほどで、データに基づいていない妄想と批判される余地はあるし、「ある研究者はこう言っているが」などと不明瞭な反論者を設定し、論破していく形の自説の補強方法はフェアとは思われない。▼しかしそれでも、本書は良書であると私は思う。たとえ細部が正確でなくとも、これほど明瞭な筋道を立てて文明の興りを解説してくれる著書は稀だし、同じことを何度も問い直す冗長さも、とにかく主題を読者の頭に刻み込むという点では成功している。文明の興りがどんなものであったか、「なんとなくわかる」という緩さこそが、本書の魅力なのである。
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