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「諸君、脱帽したまえ。天才だ!」シューマンによる有名なショパンへの絶賛の言葉である。しかし、評されたショパンの方はシューマンほどロマンティストではなく、むしろ現実的で冷めていたらしい。彼の「作品二」がいかに幻想的で絵画的な描画に満ちているかを事細かに解説するシューマンのエッセイを読んで、ショパンは「このドイツ人の想像には本当に死ぬほど笑った」と友人への手紙に書いたそうだ。▼卑近な例で言えば、現代文の読解問題に似ている。「著者の考えとして適当な物を選べ」という選択肢の正誤は、実際には著者の思惑となんの関係もない。問題制作者にとっては、そう読み取れるということが重要なのであって、本当にそんな思いを込めたかどうかはどうでもよいのだ。シューマンとて仮に機会があったとしても、ショパンに真意を確かめる気はさらさらなかっただろう。自分が見た幻想風景を思うがままに書き連ねることは、もはや新たな創作なのだ。
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