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今日の帰路はマーラーの第二番「復活」第一楽章の後半、不安を孕んだppから突如ティンパニが豪快に鳴り響きffに転じるところで、寒い風に吹かれた足元の木の葉がザザザと前に流れていった。そのぴたりと曲にあって格好いいことと言ったら。よく出来た映画の一幕を観ているような、あるいはその映画世界の一員になったような気分である。環境音楽信奉者の気持ちがわからないでもない。▼マーラーの曲は多調的で並行的で分裂症的だと言われるが、私には彼の曲はどうにも現代映画的に聞こえる。映画音楽のようだというのではない。無関係のようでいて、しかし聴衆にはなんとなく意味の繋がりがわかる、いつかどこかで重要なプロットに結びつく気がする、そんなシーンを織り交ぜてひとつの巨大な物語を作り出す手法が、いかにも映画くさいのだ。モンタージュ的と言ってもいい。美味しいところの盛りだくさん、味わい方はお好きにどうぞ――そんな現代的感覚である。
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