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私がバッハのダブルコンチェルトをよく聴くのは、第一楽章から第三楽章まで退屈なところが全くなく、気分良く、心地よく、流れるように聴けるからだ。もっとも第二楽章は昔は飛ばして聴くこともあったくらい苦手だったが、八分の十二拍子だということを知ってからはゆったりと息の長いリズムを感じられるようになって、今では気に入っている。メタ情報が有益に働いている例である。▼同時に、バッハはヴァイオリン版(BWV1042)よりチェンバロ版(BWV1062)の方を先に構想していた、と私は勝手に思っている。もちろん番号が示すように史実とは異なる。しかしどうしても私にはこの曲はチェンバロ版の方が真の姿、原初の姿のような気がしてならない。もしかしてそういう可能性もあるのではないか……と疑いながら二曲を交互に聴くのもまた面白かったりする。妄想で拵えたものとはいえ、これだってメタ情報が楽しみ方に影響を与えている好例だろう。
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