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不味くて飲ませるのが大変だった溶連菌抗生物質の最終日。面白いことがあった。▼その日、いつもと違うタイミングで食事を取ったこともあり、私も妻も、長男の薬のことを忘れていた。やがて、ニヤニヤしながらこちらを窺っていた長男が、急に歌い出した。「ゆかいな牧場」の替え歌である。「おくすり飲もう、いやいやよー。」▼その歌で思い出した我々が、例のピンク色の粉末を持って近づく。「いやいやよー」まだ笑いながら歌っている。とうとう、囚われるまでご機嫌に歌っていたが、いざ捕まえて飲む段になると、普段と変わらぬギャン泣きである。薬を飲む運命を、諦めて受け入れたわけではなかったようだ。▼彼はいったいどんな気持ちで薬の歌を歌ったのか。このところ毎日飲んでいた薬がなくて、そのことで薬という言葉が脳に浮かび、ただ歌にしただけなのか。それとも実は本当に飲もうという意志があったのか。たいへん気になるが、永遠に謎のままだろう。
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