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ジャン=ポール・サルトルは言った。何でもないようなことを、無理やりに奇妙なことだと考えてはならないと。日記をつけることの危険はそこにあると――我々は、日記をつけ始めると、余白を埋めるために鵜の目鷹の目で日常の歪みを探し出し、全てを誇張し、真実をねじ曲げてしまうのだと。▼乗っかるわけではないが、私もそう思う。サルトルに言われるまでもなく、私は一貫して小林秀雄の書評スタイルに従っている。言うべきことがないときは、何も言わない。良い意味でもなく悪い意味でもなく、本当に何の感想も湧いてこないことをもって、「言うべきことなし」と書ける正直さを忘れないこと。少なくとも、私の生活という現実の中に後から題材を創り出さないこと。ファンタジーはファンタジーとして明示すること。折に触れて、日記に役目を回避させること。▼それができたから、長く続いている。小林秀雄は私の中でまだ生きている。全集を読み直したいものだ。
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